【企業・事例概要】
全国にホームセンターを展開し、くらしのインフラを支えている株式会社カインズ。同社は仕入れ商品の販売にとどまらず、顧客の困りごとを解決するプライベートブランド(PB)の開発に注力しています。今回、同社商品本部でペット用品のマーチャンダイザーを務めている永田様に、外部専門家選定・活用支援サービス「モンパニエ」を取り組みした背景、獣医師である茂木先生との 共同開発プロセス、そして計画比の売上を達成したヒット商品誕生の舞台裏についてお話を伺いました。
「ペット目線」の商品開発を、圧倒的なスピードで具現化
獣医師の専門知見と一次情報がもたらした販売予測3倍の成果
▼取り組み前の課題
・多くのレビューが集まっていたが、商品開発へ活かしきれていなかった
・商品開発のための専門的知見(獣医師)による監修や安全性の検証が必要だった。
▼取り組み後の効果
・行動学に基づくアプローチにより、販売予測比の約3倍の売上達成とヒットの継続を実現
・機能性とコンセプトが評価され、ペットシーツで「グッドデザイン賞」を受賞
・専門家監修でありながら、通常1.5〜2年かかる開発 期間を「約1年」へ大幅に短縮
まず初めに、御社の事業概況や展開されているサービスについて、教えてください
私たち「カインズ」は、全国でホームセンター事業を展開しています。日用品、DIY用品、そして私が担当しているペット用品など、生活のインフラとなる幅広い必需品を扱っています。
弊社の強みは、商品の仕入れ・販売だけでなく、オリジナル商品の開発に力を入れている点です。お客様のくらしにおける「困りごと」を解決し、より豊かにするための商品開発を心がけています。
商品開発の部門は、私が所属している「ペット・ガーデン」の他、主に家庭用品を中心に取り扱う「ライフスタイル」、消耗品、加工食品を中心に取り扱う「日用雑貨・加工食品」、DIY用品から職人様向けの商材までを扱う「プロ・DIY」、リフォーム商材を取り扱う「リフォーム・エクステリア」に分かれております。
「ペット・ガーデン」に属するペット部門での主力商品は、毎日使う消耗品である「ペットシーツ」や「猫の紙砂」といったトイレタリー系や「ペットウェア」「ペットベッド」などのくらしをより快適に楽しくする商品群です。
業務内容としては、商品の仕入れ、開発、品揃えの決定など、商品戦略の構築から開発の実行までを一貫して担当しています。

株式会社カインズ
商品統括部 商品開発事業本部
ペット・ガーデン開発ユニット マーチャンダイザー 永田 誠氏
貴社商材の特徴について教えてください。
商材ごとに異なりますが、ペットシーツなどの消耗品は、日用使いする分、手に取りやすいような価格設定へのこだわりはもちろん、機能の付加価値も意識しています。
また、ウェアやベッドに関しては、人間のインテリアデザインとの統一性も重視しています。
ホームセンター本来の「住空間全体のプロデュース力」という強みを活かし、「人用のソファーやカーテンと同じ上質な生地を使って「ペット用のベッド」を開発するなど、部屋全体のコーディネートを統一できる開発を行っています。
結果的に生地の共同仕入れができることにより、上質なクオリティでありながらご提供する価格を抑えられるというメリットも実現しています。
モンパニエとの出会い:抱えていた課題と、お取り組み開始のきっかけ
今回、モンパニエとのお取り組みが開始される前は、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか。
お取り組みのきっかけは、約5年前に遡ります。当時はコロナ禍に突入した時期で、デジタルシフトやECの拡大が一気に進んだタイミングでした。リモートでの商談が当たり前になる中、私たちはデジタルを通じて「お客様の声」や「レビュー」をこれまで以上に多く集めることに意識を向け始めました。
しかし、データとしてお客様の声を収集することはできても、集まった課題の声が「本当に正しいのか」「それを商品開発にどう活かしきるか」など根拠を持って判断する必要がありました。そこで、専門的な知見を持つ獣医師の先生と繋がり、その知見を反映した本質的な商品開発を行いたいと考えたのです。
獣医師である茂木先生との出会いのきっかけや、実際にどのようなプロセスで共同開発を進められたか教えてください。
茂木先生は元々テレビ等で拝見しており、ぜひお会いしたいと考えていました。
そんな中、たまたま弊社が運営しているペットメディア「WanQol(ワンクォール)」での接点ができ、今回のご相談に至りました。
ペット用品の企画における「行動学」の知見を求めていた私たちにとって、その分野を専門とされている茂木先生は、まさに理想的なアドバイザーでした。
最初に取り組んだ「ペットベッド」の開発では、弊社が起案した「安心して眠れる場所」という企画をもとに、先生とブレストを重ねていきました。
ペットの習性や行動学に基づく知見をデザインに具現化し、さらに先生によるレビュー、修正、サンプルでのライフテストというプロセスを何度も繰り返しました。
茂木先生に伴走いただけたことで、企画のキックオフからわずか1年という異例のスピードで店頭に並ぶ製品を作り上げることができました。
共同開発のプロセスと、定量・定性で創出された成果
専門家の監修が入ったことで、どのような成果・反響がありましたか。大きく3つの成果を創出することができました。
1つ目は、「獣医師監修」というブランドがもたらす安心感です。ペットオーナー様は獣医師からのアドバイスや同じようにペットを飼っているコミュニティの情報を重視する傾向があるため、「獣医師監修」の事実は購入時における強力な後押しとなります。
そのため、商品に「獣医師監修」という文言があると非常に安心して購入いただけます。
2つ目は、高価格帯でありながら計画比約3倍という売上成果を残せたことです。
今回のベッドは、弊社のベースライン(980円〜1,180円)よりも高い価格帯(2,980円〜3,980円)に設定していたため、販促面での不安がありました。
しかし、店頭や媒体で「獣医師監修」とその理由である行動学のポイントをしっかりとアピールできたこともあり、当初の販売予測・計画比に対して約3倍の売上という、成果を上げることができました。
3つ目は、専門家の信頼性が生んだ持続的な成功です。
「本当にペットのためになるもの」を求めるオーナー様に専門家の言葉が持つ信頼性の高さが響いた結果、当初の予測を超える大ヒットを記録しました。お取り組みから3〜4年ほど経ちますが、今でもその好調を維持し、継続的に売れ続けています。
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◆ 共同開発で生まれたその他のヒット事例
ペットシーツのカテゴリーにおいて、茂木先生のご協力のもと「おしっこチェックペットシーツ」を共同開発・発売しました。ペットがおしっこをするとアルカリ性に反応して色が変わるため、日常の中で健康の変化にいち早く気づける付加価値商品となっています。この商品は機能性とコンセプトが高く評価され、昨年「グッドデザイン賞」を受賞しました。現在も非常に好調な販売を記録しています。
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貴社のブランドイメージの変化はありましたか。
はい、明確にポジティブな変化を感じています。
今回の商品が販売されてから、他社の大手メーカー様からも「自社でどのようにして獣医師監修の本格的な商品開発をしているのか」と驚かれるほど、業界内から反響がありました。
私たちは利便性や経済合理性だけを優先にするのではなく、「ペットにとっ て本当に良いものか」を徹底検証して健康や心地よさを守る開発姿勢を大切にしています。茂木先生との取り組みによって、このスタンスを言葉だけでなく商品開発を通じて実証できたと思います。
パートナーシップの価値:期待値を超えるスピードと柔軟な関係
お取り組み前の期待値と、実際の取り組みにおいてギャップはありましたか。
商品開発までの期待以上のスピード感に驚きました。
一般的に、外部のデザイン会社や専門機関に監修を依頼すると、開発から店頭に並ぶまで1年半から2年の期間を要することが少なくありません。
しかし茂木先生との取り組みでは、「約1年」で発売が実現しました。
その要因は、商品化の参考になる「お客様の具体的なお悩みや事例」を数多く共有いただけたことです。これによって商品企画のスピードが加速しました。また、サンプルをお送りした際もすぐに試用してフィードバックをくださるなど、日々のコミュニケーションが非常に迅速だったことも大きな理由です。
現在は月1回の定例ミーティングを行っていますが、最近では弊社からの企画提案に留まらず、先生から「現場の困りごと」や「最新トレンド」をご共有いただき、それを起点に商品開発を始めるという好循環も生まれています。獣医師のネットワークから得られるリアルタイムの一次情報をいち早く商品開発に活かせる点は、他社にはない強力なアドバイスソースになっています。
また、モンパニエ様自体に商品開発のご知見があるため、私たちの「商業的な目線」まで深く理解し、非常に柔軟に対応していただいている印象です。
一方で、ペットの健康を損ねるものには「絶対に不可」とはっきりご指摘いただけます。この共通認識のもと、同じ目線で建設的なディスカッションができる関係性に、非常に大きな価値を感じています。

今後の展望についてお聞かせください。
現在、日本のペット環境は人間の社会と同様に「超高齢化」が進んでおり、全体の約3分の2がシニア犬だと言われています。シニア期に入ることで、病気や行動の変化など、オーナー様の困りごともより深刻化・多様化していきます。今後もモンパニエ様、茂木先生の知見をお借りしなが
ら、高齢化に伴う新たな困りごとを解決し、ペットがより長く、健康で楽しく生活できる ような付加価値をもつ商品を提供していきたいと考えています。
最後に、モンパニエとの共創を検討されている企業様へのメッセージをお願いします。
本音を言えば、非常に素晴らしいサービスなので「他社さんには教えたくない、カインズだけで独占したい」と思っているくらいです(笑)。
やはり自社で「ものづくり」をしているメーカー企業様や、商品開発を行っている企業様には抜群に相性が良いと思います。
特にグッズや用品系を扱っていて、自社製品に「確かな科学的根拠や専門的価値」を付加したいと考えている企業様には、自信を持って推薦できます。モンパニエ様自体がものづくりへの理解が非常に高いため、話が早く、スムーズにプロジェクトが進むはずです。
自社の事業拡大や売上の向上はもちろん重要ですが、外部の専門家の知見を入れる真の価値は、手を取ってくださる生活者や、その先にいるペットの生活を心から良くすることにあると思っています。現在のペットの高齢化社会において、より健康でより楽しくくらせる世の中を、商品を通じて一緒に作っていけるような素晴らしいパートナーシップに出会えるサービスです。迷われている企業様は、ぜひ一歩を踏み出してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



